鍼灸治療の適応症INDICATION
- 小雀斎漢方針灸治療院での鍼灸治療について
症状・疾患別に説明いたします。
知りたい症状をお選びください。
顔面麻痺の鍼灸治療
中医学における顔面麻痺とは
中医学では、顔面麻痺のことを「面癱(めんたん)」・「口眼歪斜(こうがんわいしゃ)」などと呼んでいます。
中医学が国の正規医療として認められている中国では、顔面麻痺の治療として鍼灸を選択するケースが非常に多いです。
病因病機(発症のメカニズム)
顔面麻痺の病因病機
体調を崩したり、体力が落ちたりした条件下で(正気・衛気の低下)、顔面部に風寒邪(長時間風を受け冷えるなど)を感受すると、顔面部の経脈が凝滞し、気血が阻滞します。
顔面部肌肉が、気血による滋養を失い収縮できなくなると面癱(顔面麻痺)を生じます。
初期の段階で治らなければ、風寒型から少陽経型,陽明経型,肝血虚型へ進行することが多いとされています。
診察のポイント
突然発症し、多くは睡眠起床後発見される。顔面一側が麻痺状態になる(口眼歪斜)。脈浮緊・浮緩。
1) 陽明経型
麻痺側の舌前2/3の味覚減少または消失を伴うことがある。
2) 少陽経型
耳後・耳下の痛み、聴覚過敏を伴うことがある。
3) 肝血虚型
患側筋の拘縮・痙攣などの他、全身の肝血虚症状を伴うことがある。
顔面麻痺の鍼灸治療
顔面麻痺鍼灸治療の標準配穴(ツボの組み合わせ)
麻痺部位への取穴(近位選穴)に遠位選穴を加えて施術する。
近位選穴例:
地倉・頬車・下関・四白・承漿・陽白 など
遠位選穴例:
(1) 陽明経型
合谷(ごうこく)
陽明経の気血を疏通させ、患部への気血供給を促進します。
(2) 少陽経型
風池(ふうち)
少陽経の気血を疏通させ、患部への気血供給を促進します。
(3) 肝血虚型
太衝(たいしょう)
肝の働きを調整し、肝血を養います。
膈兪(かくゆ)
全身の血を養う働きがあると言われています。
章門(しょうもん)
脾胃の働きを活性化し、血の生成を高めます。
[参考書籍]
新世紀全国高等中医薬院校針灸専業創新教材 中医内科学.中国中医薬出版社
新世紀全国高等中医薬院校企劃教材 針灸治療学.中国中医薬出版社
この記事を書いた人
渡邉大祐(医学博士・はり師きゅう師)